2018年7月にGoogle Chromeがアップデートされ、SSL化(https化)されていないホームページを表示すると、「保護されていない通信」という警告が出るようになりました。この警告により、ユーザーがセキュリティに不安を感じる可能性があり、多くの企業が急いでSSL化を進めましたが、まだこれからSSL化を検討している企業も多いのも現状です。
この記事では、SSL化の基本的な仕組みと、メリット・デメリットについてわかりやすく解説します。
もくじ
◆ SSL化とは
Webサイトを利用する際、ブラウザとサーバーの通信は「プロトコル」と呼ばれるルールに基づいて行われます。その中でもよく知られているのが「http」です。かつてはhttpを使うのが一般的でしたが、なりすましやデータ盗聴、改ざんといった被害が増えたため、安全性を高める「https」が使われるようになりました。このhttpsを実現している仕組みが「SSL(Secure Sockets Layer)」です。
SSLは通信を暗号化する技術です。SSLを利用していない場合、通信データが傍受される可能性がありますが、SSLを使うと暗号化されるため、たとえデータが盗まれても第三者には解読できません。この暗号化には「共通鍵暗号方式」と「公開鍵暗号方式」の2種類が使われています。
共通鍵暗号方式
ブラウザとサーバーが同じ「共通鍵」を使ってデータを暗号化します。シンプルで処理が速いですが、鍵を共有する際のセキュリティリスクがあります。
公開鍵暗号方式
サーバーが「公開鍵」を送り、ブラウザがその鍵を使ってデータを暗号化します。その後、サーバーが「秘密鍵」でデータを復号します。この方法は安全性が高い一方、処理速度が遅いというデメリットがあります。
SSLはこれら2つの暗号化方式を組み合わせることで、安全かつ効率的な通信を実現しています。具体的には、まずブラウザがサーバーにSSL通信をリクエストし、サーバーが「SSL証明書」と「公開鍵」を送信します。ブラウザは証明書を確認した後、共通鍵を公開鍵で暗号化してサーバーに送信。サーバーは秘密鍵で共通鍵を復号し、共通鍵を使った安全な通信を開始します。
最近では、「常時SSL」という取り組みも進んでいます。以前はフォーム送信部分だけをSSL化するケースが一般的でしたが、今ではホームページ全体をSSL化するのが主流です。これにより、すべてのページで安全な通信が可能になります。
SSLは一見複雑に思えるかもしれませんが、私たちのデータを守るために欠かせない技術であり、日々迅速に動作しています。
◆SSL化のメリット
セキュリティリスクを防げる
SSLを導入すると、データの盗聴や改ざんといったセキュリティ被害を防止できます。フィッシング詐欺やなりすましといった犯罪からユーザーを守るためにも、事前の予防が重要です。万が一被害が発生してからでは手遅れになることが多いため、早めの対策が必要です。
ユーザーの信頼を高める
SSL対応済みのホームページは、ユーザーに安心感を与えます。特にオンラインショッピングなど個人情報の入力が必要な場合、SSL対応の有無は信頼性に直結します。Google ChromeではSSL未対応のサイトに「保護されていない通信」と警告が表示されるため、ユーザーの離脱や購買意欲の低下を招く可能性があります。ビジネスの成功のためにも、SSL化は欠かせません。
SEO効果が期待できる
Googleは、SSL対応(https化)を検索順位の評価基準の一つにしていると発表しています。キーワード最適化などSEO対策を行っているなら、SSL化も一度設定すれば長期的に効果が見込める施策です。SEOの強化を目指すなら、ぜひ取り組んでおきましょう。
◆SSL化のデメリット
費用がかかる
SSLを導入するには、SSLサーバー証明書の取得費用や設定作業のコストが発生します。特に既存のホームページをSSL化する場合、新規制作よりも手間がかかるため、制作会社に依頼すると費用が高くなることがあります。また、SSLサーバー証明書を継続利用する場合には定期的なコストが必要です。ただし、最近ではレンタルサーバーの付属サービスとして、無料でSSL証明書を提供しているケースも増えています。
作業に手間がかかる
SSL化にはいくつかの作業が必要です。Search Consoleでの新しいプロパティ登録、Googleアナリティクスの設定変更、リンクの確認、リダイレクト設定など、多くのステップを踏まなければなりません。また、作業だけでなく、それぞれの設定を確認するのにも時間がかかるため、ある程度の工数を見込んでおく必要があります。
ただし、最近ではオンラインショップのカートシステムなどで、ボタン一つで簡単にSSL化できる便利なツールもあります。このような場合、SSL化は非常に手軽です。
SNSのシェア数がリセットされる
ブログやニュースページに設置しているSNSのシェアボタンや「いいね」のカウントが、SSL化によってリセットされてしまう場合があります。これまで積み上げてきた数値がゼロに戻るのは大きなデメリットです。特に、これらの数字がコンテンツの信頼性や人気度を示す重要な指標になっている場合、再スタートは大きな負担に感じることもあります。
◆まとめ
今回はSSL化について解説しました。
SSL化(https化)は、Webサイトのセキュリティを強化し、ユーザーの信頼を向上させるための重要な取り組みです。データの盗聴や改ざんを防ぎ、安全な通信を実現するSSLは、オンラインショッピングや個人情報を扱うサイトでは特に欠かせない技術といえます。
また、SSL化はSEOにも貢献し、Googleが検索順位の評価基準に含めていることから、長期的な集客効果が期待できます。一方で、設定作業の手間やコスト、SNSシェア数のリセットといったデメリットもあるため、導入前に必要な作業や影響をしっかり検討することが重要です。
安全性と信頼性の向上に加え、SEO強化も視野に入れた効果的なSSL化を行い、より安心して利用できるWebサイトを目指しましょう。