「セグメンテーション」はマーケティングや営業に必要不可欠な存在です。効果的にマーケティングを行いたければセグメンテーションを正しく理解し活用していくことが重要です。
この記事ではセグメンテーションの活用場面や似た単語であるターゲティング・ポジショニングとの違い、6Rの原則などを解説していきます。
もくじ
◆セグメンテーションとは
セグメンテーション(segmentation)とは、日本語で「部分」「区分け」を意味します。マーケティングの領域では、「自社の商品やサービスを提供する市場で、顧客がどんなニーズや特性を持っているかを分類し、特定の属性ごとにまとまりを作ること」を指しています。作られたまとまりのことはセグメント(segment)と呼びます。
顧客がどのセグメントに集中しているか把握することで、自社商品やサービスの効果的な売り出し方を工夫することができます。
市場を細分化してグループ(セグメント)ごとに分類することにより、自社商品やサービスの効果的なアプローチ方法が掴みやすくなります。
セグメンテーションを使うタイミングは基本的に市場調査を終えた後、マーケティング施策を打ち出す前の段階で行われることが多いです。セグメンテーションを実施した後ターゲティングやポジショニングへ進むことがほとんどで、その後マーケティング施策を打ち出し実施する流れになっています。
ターゲティング・ポジショニングとの違い
先ほど解説した通り、セグメンテーションはターゲティングやポジショニングの前の段階で利用するものになります。違いに関しては以下の通りです。
- セグメンテーション:市場を細分化し、特定の属性でまとめること
- ターゲティング:細分化した市場のうちどの市場に狙いを定めるか決めること
- ポジショニング:ターゲティングした市場の中でさらに自社の立ち位置を決めること
この3つの頭文字(S:セグメンテーション(segmentation)、T:ターゲティング(targeting)、P:ポジショニング(positioning))をとったものを「STP分析」といいます。STP分析はマーケティング戦略のフレームワークとしての役割を担っており、市場において自社の製品・サービスの立ち位置を明らかにすることができます。
そして、STP分析では常に「ユーザー目線」を考えることが大切です。客観的に顧客のことを考え、ニーズをきちんと割り出した上でのマーケティングや事業の展開をすることでSTP分析は真価を発揮します。
◆セグメンテーションの分類(変数)
セグメンテーションは様々な「変数」を使って分類します。変数とは基準を決めて顧客や市場を分類することで、大きく分けて以下の4つの変数があります。
・地理的変数(ジオグラフィック変数)
地理的な要因を採用したもの。住んでいる地域やその場所の気候、生活環境などによって左右されやすい製品やサービス(衣服や食料品など)のマーケティング施策を打ち出すのに有効とされています。
・人口動態変数(デモグラフィック変数)
消費者の属性によって分類されるもの。年齢、世代、家族構成、性別、収入、職業などで分けられます。変数の中では最も多く使われており、顧客のニーズと合致しているかがわかりやすいという利点があります。
・心理的変数(サイコグラフィック変数)
消費者の価値観(伝統を重んじる、革新的なものを好む)や趣味嗜好(インドア派、アウトドア派)、パーソナリティ(温厚、神経質)など個人の性格や考え方による変数。アンケートやヒアリング調査によって決定します。
・行動変数(ビヘイビアル)
商品やサービスの利用頻度(毎日使う、特定の日のみ使う)や求めているベネフィット(品質、コストパフォーマンス)などで分類されるもの。
行動変数は主に製品やサービスを通した顧客との関わり方に紐づいているので、プロモーション戦略に役立ちます。
◆6Rの原則とは?
セグメンテーションには6つのR、6Rの原則と呼ばれる考え方があります。
・Realistic scale(有効な規模)
マーケットの規模感が適切かどうかを示す指標です。マーケットは大きければ大きいほどよいわけではなく、自社の方針にあった規模感かどうか考える必要があります。
・Rank(優先順位)
セグメントの優先度合いを示す指標のことです。自社の経営戦略とかけ離れている(優先順位の低い)セグメントに重点を置いていないか確認しましょう。
・Rate of growth(成長率)
市場の成長率を示す指標です。セグメントの中の対象商品、サービスの消費額などを考慮して捻出します。市場の規模感は小さくても成長率が高ければ十分な効果が見込める場合もありますのでRealistic scale(有効な規模)と共に考えるとよいでしょう。
・Rival(競合)
ライバルとなる企業が扱う商品やサービスが、どれくらいのシェアを得ているのかを示す指標です。競合が多くても、規模感が大きく新規参入がまだ間に合う可能性もあるので、Rivalのみで判断せず補完判断材料を考慮して施策を考える必要があります。
・Reach(到達可能性)
ターゲットに対してアプローチが適切に行われるかどうかを示す指標です。若年層向けのコンテンツを売り出したくてファミリー層へアプローチを続けるのが非効率的なのはいうまでもありません。ターゲットにより距離の近い層に向けてプロモーションを行うことで動線が確保できるようにしましょう。
・Response(測定可能性)
ターゲットにアプローチした効果を観測、分析できるかを示す指標です。掲げた目標が達成できているかどうか判別できる環境が整っていない場合、そのセグメントへのアプローチが適切であったかどうか評価できないというデメリットがあります。また、チームのモチベーション低下にも繋がってしまうので注意が必要です。
◆まとめ
セグメンテーションはのちに続くターゲティング・ポジショニングの効果を保証するためにも重要な基盤となってきます。今回紹介したポイントを参考により効果の見込めるセグメントを探しマーケティング施策に役立ててみてはいかがでしょうか。