クチコミにはさまざまな種類や質があることをご存知ですか?
マーケターは、広告主が曖昧な表現に惑わされ、本質を見失わないよう注意を払う必要があります。そのためには、「どのような影響力を目指すのか」「どのように広めたいのか」という具体的な目標を明確にし、クチコミの質にもこだわりながらプランニングを進めることが重要です。
クチコミの質によって、伝わる内容や影響の度合いは大きく異なります。企業はクチコミをその質に基づいて分類・理解し、それをマーケティング戦略に活用することが求められます。
今回は、マーケティングの観点から「クチコミの役割と質」について詳しく解説していきます。
もくじ
◆クチコミが生まれる理由とは?
クチコミが拡散される際には、『興味を持つ』『実際に体験する』『感情の変化を感じる』というプロセスを経て、最終的に『誰かに知らせたい』という段階に至ることが基本となります。
本当の意味で『伝わるクチコミ』を実現するには、この『興味』『体験』『感情の変化』という3つの要素を押さえることが不可欠です。これらを無視し、単に影響力のある人物や媒体(フォロワー数や読者数など)に情報発信を依頼するだけでは、情報は単なる『告知』や『オススメ』の域を出ず、クチコミとして自然に広がるには至らないでしょう。
◆クチコミの質とは?
ここからは、クチコミの質について詳しく見ていきます。
クチコミとして発信される情報は、大きく以下の4つに分類できます。
- 告知
ある商品の存在や事実を単に知らせる情報。 - オススメ
自身の体験や興味をもとに、他者に教える情報。 - レビュー
実際の体験に基づき、感じたことや出来事を詳細に共有する情報。 - 噂
自ら体験していない場合でも、興味を持ったことを他者に話す情報。
クチコミが伝わりやすくなるには、「興味」「体験」「感動」という要素が基本となります。さらに、発信者自身のブランドやサービスへの関与度の深さが、クチコミの種類や質に大きな影響を与えます。
単なる「告知」の場合、個人の興味とは無関係にリーチ力を活かして情報を伝えることができますが、情報過多の現代において、消費者はその程度の情報では簡単に態度を変容しません。
そのため、マーケターにとって重要なのは、「オススメ」や「レビュー」の形でクチコミを発信してもらう方法を考えることです。この点が、クチコミを活用したマーケティングの成功を左右する大きな鍵となります。
従来では、芸能人など誰もが知る著名人に依頼することで広くリーチする方法が一般的でした。しかし、「告知」「オススメ」「レビュー」などクチコミの役割を明確にし、それぞれに適切な発信者を選定して役割を持たせるアプローチが、これからのマーケティングでは欠かせません。
◆まず、何を伝えたいのかを明確にする
もし単純に商品の存在認知やパッケージデザインの魅力を多くの人に伝えたいのであれば、大規模なリーチを狙った「告知」や「オススメ」の手法が効果的です。特に、芸能人や著名人の力を借りて広く発信することが有効です。(もちろん、発信者自身がその商品を本当に気に入り、感動したうえで情報発信をしてくれるのが理想です。)
一方、インフルエンサーのフォロワーに共感や欲求といった態度変容を促したい場合は、「体験」を通じた「オススメ」や「レビュー」が重要になります。この場合、数十万人のフォロワーを持つインフルエンサーでなくても、数千~数万人のフォロワーを持つ発信者で十分です。彼らのリアルな体験に基づくレビューや、本人の意思を伴ったオススメは高い信憑性を持つため、フォロワーの反応率が格段に向上し、人から人への伝播が起きやすくなります。
また、ネガティブな情報は広まりやすい一方で、ポジティブな情報は人々の心に深く刺さる傾向があるため、ブランドリフトや想起率の向上に繋がります。
こうしたクチコミが広がる仕組みを理解したうえで、インフルエンサーに適切な情報を提供すれば、伝えたいターゲットに効果的にリーチすることが可能です。さらに、生活者が情報にどのような態度で接しているのかを考慮することで、クチコミを通じて広めるのか、ディスプレイ広告やバナー広告で訴求するのかといった、採用すべきメディア戦略を柔軟に選択できます。
◆まとめ
単なる告知であれば、バナー広告やディスプレイ広告でも十分に情報を伝えることができます。しかし、視認性や信頼性をより重視する場合は、適切なメディアを選択することが求められます。
さらに、ユーザーが情報に接触した後、興味を持った段階では、レビューや第三者による詳細なクチコミが後押しとなり、効果を発揮します。
生活者が興味を持った際に、適切なクチコミにたどり着けるような導線やストーリー設計を意識することが、クチコミをプロモーションに活用するうえで非常に重要です。
インフルエンサーを活用する際には、その役割や発信する情報の目的を明確に考えることが大切です。何を伝えるのが目的なのか、誰が発信することで効果的になるのか、どのようなアウトプットが求められるのか、そしてそのアウトプットがどのターゲットに刺さるのか、といった基本的な点を綿密に計画する必要があります。
こうした計画に基づき、インフルエンサーの世界観に合った形で情報を発信してもらうことで、クチコミの効果を最大限に引き出すことができます。