ここ数年で、スマートフォンの普及が飛躍的に進み、現在では国民の半数以上がスマートフォンを利用していると言われています。この普及に伴い、Webサイトはパソコンだけでなく、スマートフォンからもアクセス可能な設計が求められるようになりました。
スマートフォンの画面が小さい場合でも、ストレスなくWebサイトを閲覧できるように考案されたものが、「モバイル専用のサイト」と「レスポンシブデザイン」です。しかし、スマホに適したWebサイトを作成する際に、どちらを選ぶべきか悩む方も多いかもしれません。そこで、今回は、レスポンシブデザインとモバイル専用のサイトの利点と欠点をご紹介します。
もくじ
◆レスポンシブデザインのメリット
「レスポンシブデザイン」を導入しているWebサイトは、1つのHTMLファイルで運営されます。そのため、更新時に複数のHTMLファイルを手動で変更する手間が不要です。特に頻繁に更新が必要なWebサイトでは、この点は大きな利点です。
さらに、WebサイトのURLが統一されているため、シェアやリンクが簡単です。パソコンからSNSなどを通じてWebサイトを共有し、スマートフォンで閲覧された場合でもURLが変化しません。そのため、スマートフォン用とパソコン用のURLを別々に提供する手間が省けます。Googleもスマートフォン向けWebサイトの構築に際して、レスポンシブデザインを推奨しています。
◆レスポンシブデザインのデメリット
レスポンシブデザインを導入すると、さまざまなデバイスに対応するためにHTMLファイルのコードが複雑になります。さらに、画像はパソコン向けのものとしても機能するため、ファイルサイズが大きくなり、Webサイトの読み込み速度に悪影響を与えます。その結果、ページの表示に時間がかかり、ユーザー体験が損なわれる可能性があります。
さらに、パソコン向けのレイアウトをもとにスマートフォン向けのレイアウトを考える必要があり、これによってウェブサイトの構築が複雑化します。
◆モバイル専用のサイトのメリット
「モバイル専用のサイト」の主な利点は、「スマートフォンでの閲覧に特化したウェブサイトを作成できる」という点です。パソコン向けのデザインとは異なる、スマートフォン向けに最適化されたデザインを採用することができます。そのため、軽量で使いやすいウェブサイトを構築することができます。
また、古いブラウザを配慮する必要がないため、HTML5やCSS3などの最新技術を積極的に活用することができます。
◆モバイル専用のサイトのデメリット
パソコン向けのウェブサイトとモバイル専用サイトを別々のHTMLファイルで管理する必要があるため、更新や修正時に手間がかかります。また、画像などの素材もパソコン向けとモバイル向けの両方を用意する必要があります。
さらに、モバイル向けとパソコン向けのウェブサイトは、基本的に同じ内容を提供します。しかし、同じ内容が重複していると、「単なるコピーのウェブサイト」とみなされ、検索エンジンでの上位表示が難しくなる可能性があります。この重複を回避するためには、適切なタグの埋め込みや、パソコンユーザー向けのリダイレクト設定が必要です。そのため、レスポンシブデザインの場合よりも作業量が増える可能性があります。
◆まとめ
モバイル専用のサイトとレスポンシブデザインには、それぞれ長所と短所があります。モバイルユーザーのニーズや、デスクトップユーザーとの違いを考慮し、スマートフォン向けのウェブサイトに含めるべきコンテンツを検討しましょう。レスポンシブデザインか、モバイル専用のサイトが適しているかは、ウェブサイトのデザイン、画像の数、更新頻度など、様々な要因に依存します。両方の手法を理解しておくことで、適切な選択ができます。