近年はドローンのハイパワー化や搭載するデジタルカメラの小型化により、一般の方でも手軽に空撮が楽しめるようになりました。
元々は軍事目的で開発が進められたドローンですが、近年では民生用ドローンが普及しています。
今回は、覚えておくべき日本のドローン規制の内容を紹介します。もくじ
◆ドローンとは
ドローンとは無人航空機の一種であり、航空法で以下のように定義されています。
“「無人航空機」とは、航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器であつて構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう。)により飛行させることができるもの(その重量その他の事由を勘案してその飛行により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないものとして国土交通省令で定めるものを除く。)をいう。”-航空法第2条第22項より-
なお、無人航空機にはドローン以外ではラジコン機、無人農薬散布用ヘリコプターなどが該当し、機体本体の重量とバッテリーの重量の合計が200g未満のものについては除きます。
関連ページ
航空法第2条第22項
※改正平成27年9月11日法律第 67号--(施行=平成27年12月10日)(ドローン規制)
◆飛行禁止となる空域
ドローンによる空撮は可能ですが、飛行禁止空域が定められています。
安全を確保するためのものとして、以下の空域で飛行させる際、国土交通大臣の許可が必要になります。
関連ページ
航空法 第132条
・空港周辺の空域
ドローンが飛行機やヘリコプターと衝突することを避けるため、空港周辺でのドローンの飛行は制限されています。
・高さ150m以上となる空域
地上や水面から150m以上の高さへ飛ばすことも航空法による規制の対象となり許可が必要になります。
この高度では飛行機やヘリコプターなどとの衝突といったリスクが高まることや、ドローンがコントロール不能に陥った際の危険性、また、落下時の衝撃による危険性も強くなることから制限されています。
・人口集中地区
国勢調査の元、定められた「人口集中地区」と呼ばれるエリア上空での飛行には規制があります。
人口集中地区の範囲にあたる場合には、建物も電線もない広大な河川敷であっても許可が必要になります。
人口集中地区は飛行規制エリアとして、国土交通省航空局のWebサイトに掲載されています。
・自治体による規制地域
自治体が飛行を禁止している地域(観光地や公園など)では、飛行の際に自治体への飛行許可の申請が必要になります。
◆飛行規制
飛行の際は以下の飛行規制があります。
以下の範囲を超える場合は、許可が必要になります。
関連ページ
航空法 第132条の2
・夜間飛行の制限
季節や地域によって時間が異なりますが、暗い場所での飛行はドローンの姿を捉えづらくなり事故リスクが高まるため、日没後から日の出前の夜間飛行は制限されています。
・目視外飛行の規制
ドローン飛行の際には、事前に国土交通省の承認をうけた場合を除き、目視できる範囲で操縦し、飛行をしなければなりません。
機種によっては、ドローンからリアルタイムで送られてくる映像を専用のゴーグルで見ることで操縦者が遠隔操作し、飛ばすことも可能です。
しかし、ゴーグルによる操縦は難易度が高いため、規制の対象とされています。
・人(第三者)や建物、車などの間に30m以上の距離をおく
衝突のリスクの観点から、ドローンを第三者や第三者の建物、車などの30m未満の範囲に飛ばす場合、規制の対象とされます。
ドローンの操縦者や、操縦者へ撮影などを依頼した人に関しては「第三者」ではなくなるため、規制の対象外となります。
・多数の人が集まるイベント会場上空の飛行
野外フェスティバルやパレード、お祭りなど、多数の人が集まるイベント会場上空のドローンの利用は規制されています。
イベント会場上空で飛行させる場合には、主催者からの了承を得る事が必要になります。
・危険物の搭載
火薬やガソリン、石油などの危険物をドローンに搭載したり運ぶことは規制の対象になります。
ただし、ドローンを飛行させるために必要な燃料や電池、搭載するカメラに使うための電池は危険物には該当しません。
・物を投下してはいけない
投下物による事故を防止すること、また投下時にドローンがバランスを失って墜落する事故を防止する目的で物の投下についても規制の対象となります。
固形物だけでなく、液体を散布する場合も規制の対象として注意が必要になります。
◆まとめ
ドローンの規制は大半が航空法に基づくものになります。
規制事項や禁止事項にあたる場合は事前に国土交通省の申請や許可、承認を受ける必要があります。
ルールを正しく守り、安全なフライトを心がけてください。