ここ数年前から「ビッグデータ」という言葉をニュースやインターネットなどでよく耳にするようになりました。
ビッグデータを導入することがトレンドのように扱われるようになり、「クラウド」と同様に一般の人も一度は聞いたことのあるようなテクノロジー用語になってきています。
ビッグデータとあわせて、誰でも自由に利用することのできるオープンデータの活用も広がっています。
また、ビッグデータやオープンデータの分析・活用のスペシャリストであるデータサイエンティストの存在も注目されています。
今回は、ビッグデータの活用事例、データサイエンティストの役割についてご紹介します。もくじ
◆ビッグデータとはなにか
ビッグデータとは、従来のデータベース管理システムでは保管や記録、解析などの扱うことが難しい巨大なデータ群のことで、スマートフォンやインターネットを通して得られた位置情報、行動履歴、ホームページやテレビの閲覧・視聴履歴の情報などから得られる膨大な量のデータを指します。
ビッグデータには明確な定義が決まっているわけではありませんが、総務省は「国(政府)・企業・個人」の3つに着目し、
1.「国(政府):オープンデータ」
2.「企業:ノウハウを構造化したデータ」
3.「企業:M2Mのストリーミングデータ」
4.「個人:パーソナルデータ」
の4グループに分類しています。
近年の目まぐるしいIT技術の進歩により、膨大なデータの管理、迅速な処理が低コストで可能となりました。
それに伴いビッグデータの市場が急速に拡大しています。
2015年の国内ビッグデータの市場規模は前年比32.3%増の947億7,600万円です。(IDC Japanが2016年6月に発表した「国内ビッグデータテクノロジー/サービス市場予測」より)
また、政府もプライバシー保護の基準策定を進めるなど、個人情報をはじめとしたビッグデータの活用を検討しています。
国や自治体も公共データを一般向けにオープンデータとして開示しています。
オープンデータは社会発展に寄与する事を目的とし公開されたデータの事で、防災、インフラなど様々な企業に活用されています。
◆データサイエンティストの役割
膨大なデータの集まりであるビッグデータやオープンデータの分析のためには、専門の知識やノウハウを持ったデータ分析の専門家が必要です。
その専門家がデータサイエンティストです。
コンピューター・サイエンティスト、トレンドスポッター、数学者の素養をあわせ持ったデータサイエンティストは、ビジネスとIT業界どちらにも精通しているため、高いニーズがあるにもかかわらず現状では人材が不足しています。
データサイエンティストの仕事内容は主に「データを分析し、事業に反映させる」ことです。
統計解析や数学、ITスキルに加え、ビジネスや市場トレンドなどといった幅広い知識が求められます。
◆ビッグデータの活用事例
・道路交通
東京ゲートブリッジでは、橋への負担や事故のもととなる車両の走行を防ぐためにビッグデータを利用し、橋を通過する車両の重量を算出し、過積載などを監視しています。
・航空機
ANAは運航の安全性と燃費効率の改善を果たすため、ビッグデータを利用し、旅客や荷物の重量などの搭載予定情報を瞬時に収集しています。
これにより機内への搭載物の配置を瞬時に割り付けることができます。
・マーケティング
楽天は顧客の商品購入や閲覧履歴のデータを分析し、顧客特性に応じた広告配信を行っています。
その結果、サービス利用者が増加しました。
クリック率、購買率も共に向上しています。
◆まとめ
ビッグデータは今まで人間では気付けなかった新しい知見をもたらしてくれます。
単なるマーケティングツールとしてだけではなく、様々な社会問題への解決にも寄与しています。
そしてビッグデータの価値を正しく理解し、データを有効活用するためには、データサイエンティストの存在が不可欠となります。
個人情報保護のリスクや、分析能力向上の必要性などといった、決して低くはないハードルもありますが、これを機会に学んでみてはいかがでしょうか。